こんにちは。
イキヅラヒツジです。
今日は私がスタートアップ企業に考えなしに転職して失敗した体験談を共有したいと思います。
スタートアップ企業に転職してから私はストレスによる過敏性胃腸症候群で毎日のようにお腹を壊していたのです。
その結果、痔瘻(じろう)という病気になりました。
痔瘻は下痢が多く、ストレスで免疫が弱っている時になりやすいみたいです。
必ずしも会社での生活が直接的な原因とは言い切れませんが、可能性は高そうです。
さてここからはそもそも何故私がスタートアップに転職しようと思ったのか、そしてどういうところが自分に合わなかったのか、といった体験談をベースにスタートアップへの入社・転職をおすすめしない理由について、可能な範囲で具体的にお話ししていきます。
もちろん、スタートアップに挑戦した方が良い結果に繋がる人もいると思います。
これは決してスタートアップ企業への入社、転職を全否定する記事ではありません。
しかし、スタートアップ企業で甘い蜜を吸おうなんて、決して思わない方がいいです。
スタートアップへの転職を検討している方は求人応募もしくは内定承諾までにぜひ一度本記事を読み意思決定に役立ててください!
過去の自分に読ませたい記事No.1 な内容にしています(泣)
なぜスタートアップ企業に転職を決めたのか
今からおよそ1年前、スタートアップ企業転職前の私はとあるIT企業の小規模なSaaS運用担当者でした。
その会社に大きな不満はなく、特に転職は考えていませんでしたが、ある時、
以前から知り合いであったスタートアップの経営者からSNSで「ウチの仕事に興味ない?」と突然声がかかりました。
その経営者の方は非常に頭の切れる人だという印象だったため、声を掛けられた私はつい舞い上がってしまったのです。
なんかすごい人にスカウトされちゃった!ワイすごい!と勘違いして喜ぶワイ…
まずは、カフェでお会いして詳しく事業のことなど聞いてみることに。
そして事業内容を聞くやいなや「これはすごい!革新的なビジネスだ!是非やってみたい!」と感動する私。
今思えば、その方は非常にプレゼンがお上手だったのです。
スタートアップ企業家は資金調達のために常日頃から投資家にプレゼンするため、場慣れしていたのでしょう。
起業家の大会でもいくつか賞を取っているようでした。
そして、その後に家族にも相談した上で、スタートアップで夢を掴みにいこう!()と、最終的に私は転職を決意しました。
現職場に退職を申し出ると、もはや心配された
さっそく、当時所属していた会社に退職の相談をしたところ、
「もちろんこのまま残って欲しいという気持ちが大きいというのもあるけど、そもそもスタートアップなんて行っても本当に大丈夫?」
と当時の社長は心配してくれていました。いやもう、完全におっしゃる通りでした。今思うとなんて優しい社長だったんだろう…。
私は選択に迷った際、危険かどうかよりも楽しそうかどうかで意識決定しがちだったので、当時は転職前の会社の社長の言葉があまり耳に響いていませんでした。人の助言ってちゃんと聞いておくべきですね。
いやほんと今思えば、もっと冷静に市場感とか資金調達含めたキャッシュフローの状況とか、社会にどう役立っているのかとか(ビジネスとして成り立っているのかどうか)色々調査するべきでしたが…
そのビジネスやその人に心を撃たれて、冷静に判断する思考を欠いてしまっていたのです。
あとは売上げが右肩上がりと聞いて「それなら大丈夫だ!」と判断したのも今思えば考えが甘かったです。売上げが上昇していても借金が膨らむと、返済に追われ、毎月のキャッシュフローはかなりカツカツだったりするのです。
当時の自分がスタートアップ企業転職にリスクを感じなかった理由
「スタートアップ企業は大変」
これはなんとなくの世間の共通認識ですよね?
「マルチ商法はやめておいた方がいい」
これも、世間の共通認識ですね。
でも、いまだに考えなしでスタートアップに転職して玉砕する人(私)もいれば、マルチ商法に手を出し友達を失う人が一定数います。これは何故か?
そう、みんな自分は大丈夫って思っちゃうんですね。私はそうでした。(マルチは経験ありませんけどw)
もちろん、常に危ない橋を渡らずに器用に生きていける人も全然いますがね。
一応私は以前に社員が3人〜5人くらいしかいないベンチャー企業での勤務経験があるため、ベンチャー企業の大変さはわかっているつもりでした。
しかし、代表から話を聞いた結果、この会社ならスタートアップでも大丈夫そうだ!と判断してしまったのです。
どんな風に会社や事業に説明を受けていたかというと、以下の通りです。
- マニュアルはひと通りあるから製品開発の作業は簡単だよ
- 案件の状況は全てシートで管理されているから、安心して
- 大手企業との取引が中心だよ
- 売り上げは右肩上がりだよ
- 幹部にはすごい人がたくさんいるよ
- 基本的には全然定時で帰ってもらっても大丈夫。副業や趣味の両立もできるよ
- 一部やる気のない人たちもいるけど、これから会社は変わろうとしているよ。一緒に頑張ろう!
だいたいこんな感じです。ふむふむ、確かにいいことばかりではないのだろうけど、いい感じの状況であることが伺えそうですね。
ちなみに私は会社以外にも音楽活動などやっていきたい思いがあり、ある程度ワークライフバランスが確保できることが絶対条件だったのですが、そこをクリアしているようだったので「問題なさそうだな」と考えました。
何より本当にプレゼンでこの会社でやっているビジネスの可能性を感じたのが大きな決め手になりました。
スタートアップ企業転職後のギャップは?
ここからは入社後にどういうギャップを感じたかお伝えします。
結論からいいますと、もう、ギャップしか感じませんでした…。
入社1〜2ヶ月くらいは自分がキャッチアップすれば状況は改善されるんだ!と考え、頑張っていましたが、
入社3ヶ月目くらいで「ああ、これはやってしまったかもしれない…」と思うようになりました。
スタートアップ企業で業務マニュアルや組織体制がしっかり確立された環境なんて、あるはずがなかったのです。
従業員が50〜100人以上とか、それなりの規模になった会社にはあるような組織や事業の安定感が小規模なスタートアップ企業にはまるでないのです。
入社前に聞いていた話を参照しつつ、実際に入社後どのようなギャップを感じたかを具体的に共有します。
- マニュアルはひと通りあるから製品開発の作業は基本簡単だよ
→実際のところ全然マニュアルが間に合ってねえ! - 案件の状況は全てシートで管理されているから、安心して
→実際はシートが形骸化していて全然案件の情報が掴めねえ! - 大手企業との取引が中心だよ
→そうだとしても取引の継続率が悪すぎる!ゴリゴリに新規営業が必要! - 売り上げは右肩上がりだよ
→結局借金返済で売上相殺されてしまっている!売上上昇してもキャッシュフローは常に綱渡り! - 幹部にはすごい人がたくさんいるよ
→実際に入社したらその幹部の人たちのほとんどはいなくなっていた。どこいったの?(これは未だに謎) - 基本的には全然定時で帰ってもらっても大丈夫。副業や趣味の両立もできるよ
→終電間際まで粘らないといけない状況がザラにある!(理由後述) - 一部やる気のない人たちもいるけど、これから会社は変わろうとしているよ。一緒に頑張ろう!
→仕事押し付け合いの文化が根付いてて想像の10倍みんなやる気ねえ!会社を変えようと頑張った人たちはみんな既に転職していた…。
と、こんな感じです。いやー、スタートアップ、してますね。
会社を支えるコアな製品や事業を持っていないような段階の会社は大なり小なりこういう問題を抱えていると思います。
結局のところ、代表から聞いた話をそのまま受け止め、
・ 売上の内訳やキャッシュフロー等に関する定量的な裏取りが不足していたこと
・ 会社や業界への解像度が低く、自分が会社で求められるであろう業務内容の予測が甘かったこと
これらが入社後に大きくギャップを感じるに至った原因です。
大 反 省…。
スタートアップ企業がブラックでしんどい理由
スタートアップ企業は非常に夢のある世界ですが、その一方でブラックな働き方になることが多いとも言われています。
それは何故でしょうか?
なお、ブラック企業の定義は明確には存在しないようですが一応以下に厚生労働省の記述を引用しておきます。
厚生労働省においては、「ブラック企業」について定義していませんが、一般的な特徴として、① 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す、② 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い、③ このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う、などと言われています。
「ブラック企業」ってどんな会社なの?
ここではブラック企業の定義を「多くの人にとって長期的に働にくい環境」とします。
上記をふまえた上で、自分なりの体験談からスタートアップ企業がブラックな環境になりがちな理由を考察してみます。
理由①お金がないから
正直、これ以外に理由はないと思うくらい大事な要素だと思います。
貯金が少ないと人って余裕なくなりますよね?会社も同じです。
例えどれだけ人徳のある経営者でも、お金がなければ時には無理なことを従業員や取引先に強要するしかありません。そうしなければ会社が潰れるからです。
実際私は直近まで在籍したコアメンバーが退職してしまったことや、会社のキャッシュフローが危ういということもあり、入社前に聞いていた業務内容とは全く異なる専門外の業務を次々任されてしまい、納期に間に合わせるために終電近くまで働くことが結構ありました。
入社して早々からこんな感じでした…。
もちろん、しっかり利益が出せる会社でもブラックな環境というのはあるかもしれませんが(広告代理店 等)、ほとんどの会社がブラックなのは会社に十分な現金や利益がないことが根本原因だと思います。
ほとんどの経営者だって、自ら進んで自分の会社をブラックにはしていないでしょうから…。
理由②人が足りないから
スタートアップ企業は仕事内容に対して、慢性的に人が足りていません。
理由は、人を増やした分だけ利益を上げる仕組みが確立できていない、募集しても望むような人材がそもそも集まらない、離職が多いなどになると思います。
なお、コストの都合上、転職エージェントや求人掲載サービスは資金に余裕がある会社でなければ利用することができません。
そうなると、必然的に資金調達がうまくいっていないようなスタートアップ企業は採用活動に積極的に投資ができないため無料で求人掲載できるハローワーク等に頼ることになります。
ハローワークで求人応募している会社にブラック企業が多いと言われているのはそれが理由だと思います。
とにかくお金がないか、もしくは人に対する投資意識が少ない可能性が高いんですね。
例外なく、私がお世話になったスタートアップ企業もハローワークで求人募集をかけていました。
さらに難しいのは、どうしてもハローワーク経由で応募してくる人もまた、企業にとって好条件でない人材の場合が多いのです。
そもそも未経験だったり、異様に転職回数が多く定着性に不安があったり、コミュニケーション適正がミスマッチだったりなど…。
それでも人が足りていないからと、そういった人材を迎え入れると、既存メンバーとウマが合わず、優秀な従業員が辞めてしまったりすることもあります。
- 人がいないから事業が発展しにくい
- 事業が発展しないから人材獲得に投資できない
スタートアップ企業は、このような悪循環を断ち切る努力をしなければなりません。
理由③事業が安定しないから
スタートアップ企業は世の中にないものを0から新しく生み出すことがミッションです。
世の中にないものを生み出すということ自体がまずかなりのハードルですが、それは顧客ニーズも同様です。製品開発もマーケティングも、ほとんど0からのスタートです。それってかなり難しいですよね。
とんとん拍子にこれらがうまくいけばいいですが、多くの場合そうはいかないでしょう。
もし仮に簡単に作れるものだったら、大抵の場合その製品やサービスは既に世の中に存在しているはずですから。
誰もが簡単に実現できない事業だからこそ、スタートアップ企業がリスクを取り、長い時間をかけて挑戦を試みるのです。
もし、事業に成功すれば参入障壁が高い事業を独占することができ、株主も会社も社員もみんなきっとウハウハですが、そこに到達できず10年以内に息耐えていく企業が多いのもまた事実です。
となると、0からの全く新しいものを生み出そうとする過程で実際のスタートアップ企業内部ではどんなことが起こるか。
それは、果てしない試行錯誤です。
「試行錯誤する」
これは経営目線では必要なプロセスだと思います。ひたすら仮説を元に試していく中で新しいものが生まれていく。そのためなら、どんなことでも試したい。何なら従業員にも自主性を持って色々取り組んでもらいたい。とにかく早くPDCAを回したい。…と、そう考えるでしょう。
ここまで読んだあなたもそう考えたかもしれません。
しかし、それについて行けるだけのスキルやモチベーションを持ち合わせた人材は、勢いを失ったスタートアップ企業にはなかなかいません。
優秀な人材はさっさと自分で事業を起こすか、より勢いのある会社に行ってしまうからです。
モチベーションがそこまで高くない社員からすれば、会社で行う「試行錯誤」というフローは「迷走」、「混乱」と捉えます。
何故なら従業員目線ではこの「試行錯誤」は以下のように写るからです。
- 仕様変更が何度も行われて、日々混乱してしまう
- 指示内容や役割が曖昧で結局何をやっていいのか分からない
- エンジニアじゃないのに、開発業務をしないといけないのが辛い
- エンジニアなのに、営業の仕事もしないといけないのが辛い
- 誰がどの責任を担っているか分からず、混乱してしまう
- 納期が曖昧だったり、急に変更があったりして、計画通りに仕事を進められない
もちろん、これらの中には「試行錯誤」という言葉で美化しきれない事象もありますが、スタートアップ企業がブラックでしんどい理由①,②などによって、会社全体に余裕がないため、現金、人材が不足している状態にさらにのしかかるようにして従業員が疲弊してしまうような状況に陥りやすいのです。
そして、疲弊した従業員は退職してしまいます。
私も実際、会社のメンバーが元々10人程度の規模にも関わらず自分が入社してからの半年間で5人ものメンバーが退職していった結果、その穴埋めで完全に専門外の仕事もくらいついてやるしかない状態でした。半年が経過したころには既に自分が一番長く勤めていることから、チームリーダーになっていました。
もちろん、こんな状況でも無事プロダクトマーケットフィット(PMF)が起これば、事業の収入が安定し、次に製品の仕様が固まることで業務フローや社内の役割が安定し始め、働きやすい環境に変わっていく可能性はあるでしょう。
しかしそのPMFはいつ実現できるのか、それは誰にもわかりません。
スタートアップ企業での勤務というのは出口の見えないトンネルを歩き続けるようなものです。
上記のような問題が重なり合った結果、
長期的に働くことが難しい「いわゆるブラックな環境」ができあがってしまうのだろう、と私は自身の体験を通して感じました。
スタートアップへの入社、転職をおすすめしない人の入社動機
前述の理由から考えて、スタートアップはすごく大変な環境だということはご想像いただけたのではないかと思います。
もちろんそれゆえにスタートアップは自己成長できる環境だと思います。
とはいえ、スタートアップに入ったら基本的には必ず大変なことが待っているんだという認識と覚悟は絶対に持っておいたほうがいいです。やっぱり甘い蜜を吸えるような環境ではないのです。
もし、スタートアップ企業がどういった環境なのかを深く理解せず、表面的な理由で入社を決めると、おそらく半年以内に9割の人が後悔することになるでしょう。
具体的には以下のような動機でスタートアップへの入社、転職を検討している場合は、一度考え直してみたほうがいいと思います。
- 現職より高待遇だから
→給与が上がることによる幸福感はそう長続きしません。私も100万くらい収入が上がりましたが、すぐに慣れてしまいました。 - 社長や役員にあこがれ、一緒に働きたくなった
→あこがれは遠い存在だからこそ、あこがれでありつづけるのです。これもすぐに慣れてしまいます。 - ホワイト企業ぽい環境で特に問題を感じなかったから
→これが一番危険で判断を誤りやすいと思います。私がそうでした。会社がブラックになるかホワイトになるかは、経営者の匙加減ではなく、基本的には事業内容や業界の状況、市場におけるその企業の立ち位置といった、外的要因で決まる可能性が高いと考えた方がいいでしょう。もちろん例外もありますが、よーく確かめた方がいいです。
上記の入社動機というのは、入社後どんどん消滅していくものと考えておくべきです。
これらの動機が失われても、あなたがその会社で働き続ける動機は他にあるのか?その答えがもしイエスならスタートアップの転職も全然いいと思います。大変な分、経験できる業務範囲は非常に広く、ちゃんと頑張れば確実にビジネス戦闘力は上がると思います。
私は入社したスタートアップ企業の代表には学べる点がたくさんあると感じていたため、残り続ける道も模索していましたが、ついに身体を壊してしまった(痔瘻)ことをきっかけにスタートアップ企業からは離れる道を選びました。
その結果、30代前半で既に2回転職している上、直近企業は在籍1年未満という厳し目の状態で転職活動をすることになりましたが、なんとか3社から内定をいただき、最終的に長く続けられそうな会社とのご縁をいただくことができました。
私自身はビジネス戦闘力が高くはないですが、今回のスタートアップ転職失敗から人生を立て直すために、この半年間で自分が最も活躍仕事は何か?自分が長く続けられる会社はどんなところか?をめちゃくちゃ考えました。
こういった自分なりの転職ノウハウについても体験談として今後記事にしていく予定です。
興味がある方は是非今後の記事もお楽しみにしていただければと思います!
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました!